SNS運用ディレクター養成スクールで、受講生の皆さんと取り組む「1か月リールチャレンジ」の企画と進行を担当しました。
この企画の目的は、完成度の高いリールを作ることではありません。まずは実際に手を動かし、「作れた」「投稿できた」という経験を増やすこと。リール制作に感じているハードルを、少しずつ下げることを大切にしました。

ご依頼の内容
株式会社フォレスタの林美里様から、「受講生の皆さんがリールを作る作業を加速できるよう、1か月間チャレンジ企画をリードしてほしい」とご依頼いただきました。
実施したのは、2026年9月7日から約1か月。期間中に3回のオンライン作業会を開き、作業会の間はオープンチャットで課題や制作例を共有し、質問への回答や添削を行いました。
いきなり完成を目指さない4段階の設計
リールに苦手意識がある状態で、最初から撮影、編集、構成のすべてを求めると、作り始める前に手が止まりやすくなります。そこで今回は、取り組む内容を4つの段階に分けました。
- Canvaに用意されている素材を使い、まず1本作る
- 4〜5秒程度の短い動画を2〜3本撮影する
- 撮影した素材を、手持ちのアプリで編集する
- ChatGPTやCanvaのAI機能を使った制作方法を試す
最初から「ちゃんとしたリール」を目指すのではなく、素材を使う、短く撮る、つなげてみるという小さな作業に分けています。ひとつ「できた」が増えれば、次はもう少しやってみようと思える。作り方の選択肢を増やしながら、それぞれが自分に合う方法を見つけられる構成にしました。
作業会だけで終わらせない進め方
作業会では、画面を見ながら一緒に手を動かしました。しかし、月に数回の作業会だけでは、日々の疑問や「これで合っているのかな」という迷いをすべて解消することはできません。

そのため、作業会の間もオープンチャットで短い動画の撮り方や制作例を共有しました。参加者の皆さんから投稿されたリールには、質問への回答や添削も行いました。
- 「初リールに意見をもらえると嬉しいです」
- 「こういうときはどうしたらよいですか?」
- 「添削をお願いします」
といった投稿が増え、制作したものを見せ合える場になっていきました。事務局からも、チャットが賑わっていると声をかけていただきました。
毎日共有したのは、撮影や編集の参考になる短い動画です。ただリンクを紹介するだけではなく、「仕事中の手元」「パソコンを触っているところ」「コーヒーを入れるところ」など、特別な場所へ出かけなくても撮れる例を添えました。
連休には、「アカウントがある人は1本投稿する」「まだ投稿先がない人は1本作る」という目標も設定しました。参加者の準備状況が違っても、それぞれが今できる一歩を選べるようにしています。
一人ひとりの発信に合わせて添削する
オープンチャットには、プライベートの記録、仕事の活動報告、店舗の集客、SNS運用代行の発信など、目的の異なるリールが投稿されました。
添削では、操作方法だけでなく、投稿するアカウントと内容のつながりを見ながら、次のような点をお伝えしました。
- 誰に向けた投稿なのかを冒頭で明確にする
- 店舗や地域に関わる内容では、地域名を早い段階で見せる
- 見せたい人物や商品に、テロップを重ねない
- 撮影する距離や角度に変化をつける
- 見た人に何をしてほしいか、CTAを入れる
- アカウントの紹介になる投稿は、プロフィールへの固定も検討する
正解を一つに決めるのではなく、「このアカウントでは何を伝えたいか」「次は何を試すとよいか」を、その人の状況に合わせて返すことを意識しました。
また、できている点を具体的に伝えてから、次の改善案を提案しています。完成前に評価する場ではなく、まず出してみて、反応を受け取り、次の一本で試せる場にしたかったからです。
参加できない人にも学びが残るようにする
作業会の録画はYouTubeへアップし、当日参加できなかった方や、内容をもう一度確認したい方へ共有しました。
初回には、案内したZoom情報の一部に誤りがあり、すぐに入室できなかった方もいました。案内を訂正して謝罪するとともに、録画を共有して内容を確認できるようにしました。
最終回が終わったあとも、1か月の期間が終わる頃までオープンチャットで添削を受け付けました。作業会の日だけではなく、実際に作り始めたときに出てくる疑問まで支えることも、この企画の一部です。
最後はAIを使ったリール制作にも挑戦
最終回では、ChatGPTやCanvaのAI機能を使ったリール制作を扱いました。
リールの素材は、自分で撮影するものや、素材サイトから探すものだけではありません。必要な動画素材をAIで作ったり、手元にある写真や動画からテロップの流れを考えてもらったりする方法もあります。
もちろん、AIに任せればすべて完成するわけではありません。何を伝えたいのかを考え、出てきた案を確認し、最後に判断するのは人です。それでも、毎回すべてをゼロから作らなくてよいと分かれば、発信を続ける負担は小さくできます。AIを使うこと自体を目的にせず、制作方法の選択肢のひとつとして紹介しました。
ChatGPTで構成とプロンプトを整理し、CanvaのAIで生成した動画素材を使った制作例
保存していたイベント素材をもとに、ChatGPTでテロップの流れを整理して作った制作例
30名以上が参加した1か月
最終回のZoomには約20名、オープンチャットには最終的に30名以上の方が参加してくださいました。
入会したばかりで、まだアカウントを準備している途中の方も、チャットやZoomに参加してくれました。「まだ作れないから参加しない」のではなく、まず見てみる、試してみる、質問してみる。そのような動きが生まれたことも、今回の企画で嬉しかったことのひとつです。
期間中には、次のような変化もありました。
- 初めてリールを作り、投稿した
- 目標にしていた2本の制作を達成した
- 動画を撮ることが楽しくなった
- CanvaやAIを使い、自分に合う作り方を見つけた
- 習ったことを意識して作った投稿について、「これまでで一番再生数が多かった」という報告があった
特に印象に残ったのは、参加者の方からいただいた、次の言葉です。
前回参加したことで、リール作成のハードルがぐっと下がった気がします。少しずつステップアップしてみます。
このチャレンジに参加してから、動画を撮るのが楽しくなりました。目標の2本を達成しました。
作り方を覚えるだけでなく、実際に作ることへの気持ちが変わったことは、この企画で目指していた大きな変化です。
発信を続けるために必要なのは、作り方をひとつに決めないこと
Canvaの素材を使う。短い動画を自分で撮る。アプリで編集する。AIにも手伝ってもらう。
リールの作り方はひとつではありません。大切なのは、そのときのスキルや使える時間に合わせて、自分が続けやすい方法を選べることだと思います。
今回のチャレンジでは、制作方法を段階的に試すことで、「リールって難しそう」という気持ちを「これなら私にもできるかもしれない」へ変えていくことを目指しました。
発信の目的と参加者の現在地を整理し、実際に行動できる大きさまで作業を分ける。講座やコミュニティの企画でも、普段のSNS運用でも、私が大切にしている進め方です。

